雨、そして紫陽花(アジサイ)
こちら(関西地方)の梅雨入りについて、気象庁の「梅雨の時期に関する気象情報」では5月28日頃と発表されていました。
なのに、全然ちょっとの雨も降る気配なしです。予報というのは難しいもののようです。
雨、とりわけ五月雨に似合う花といえば、やはりアジサイでしょうか。
紫陽花や赤に化けたる雨上がり 正岡子規
紫陽花に雨きらきらと蠅とべり 飯田蛇笏
紫陽花の原種は日本特産の園芸種であるガクアジサイ(額紫陽花)で、鞠状のものはヨーロッパで改良された西洋アジサイが逆輸入されたものだそうです。
学名は「オタクサ」。西洋にこの花を紹介したのはシーボルトで、愛人であった丸山遊廓(長崎)の遊女「お滝さん」の名を採って命名したといわれます。
紫陽花には、花の様子から七変化・四葩(よひら)・手毬花などの別名があります。
原種(額紫陽花)
改良種
あとの方の写真で浅黄色(左上)のものは初期の花で、七変化する前です。
一昨日(6月5日)は二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」でした。
稲や麦などには芒(のぎ)=穂 に針のような毛があります。「芒種」はこれらイネ科の穀物を植え付ける季節、梅雨入りの田植えを始める時期を意味します。
梅雨の「雨」という字は、天から雨の降るさまを象っており、上から地表を覆って降る雨を表しているそうです。雲・雪・霰・雹・霜・霧・靄・露など、雨や水に関する天体現象を意味する字には雨かんむりが付くことが多い。
梅雨入り初期の頃のほんの少しだけ降る雨には、雫雨・涙雨・小糠雨・糸雨・朦雨・袖笠雨などの言葉が似合います。上品な情景が思い浮かび、独特の味わいのある美しい名前だと思います。
辞典や辞書を見ると、雨に関する文字や言葉は降り方によって、いろいろな呼び方がどっさりとあります。
その一部を並べてみましょう。(この分け方はあくまで主観的なものですが・・・)
激しく降る雨・・・鉄砲雨・大雨・篠突く雨・篠を束ねる雨・篠を乱す雨・車軸を流す雨
突然降りだして間もなくやむ雨・・・俄雨・驟雨・通り雨・気違い雨
激しく吹き付ける雨・・・繁吹(しぶき)雨・横雨
降りしきる雨・・・八重雨
降り続く雨・・・五月雨・霖雨・地雨・漫ろ雨(そぞろあめ)
程よい時に程よく降る雨・・・慈雨・恵みの雨
細かいわずかの雨・・・袖笠雨・肘笠雨・小糠雨・涙雨・霧雨
降る時や範囲が限られた雨・・・虎が雨・天気雨・日照り雨・朝雨・丑雨・私雨・ほまち雨・紅の雨・花の雨・桜雨・村雨・氷雨・時雨・時知る雨
本物の雨ではないもの・・・涙の雨・血の雨・袖の雨・木の葉の雨・火の雨・一味の雨
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