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2014年11月21日 (金)

秋と柿

 今は暦の上ではもう冬なのです。けれども、ようやくこの二週間程の間に「山粧ふ」秋となってきました。

 滅多に見かけませんが「秋」という字には、「穐」というのもあります。しかし、この字は人名以外で使われることはまず無いように思われます。
 名前に「穐」のつく代表的な人は、85歳の高齢ながら、現役ジャズピアニストで作編曲家でもある「穐吉敏子」さんでしょうか。(アルバムや活動では「秋吉敏子」で通しています)
 日本人では初の国際ジャズ殿堂入りを果たしている他、紫綬褒章・朝日賞・ジャズマスターズ賞その他数多くの受賞歴があります。

 ところで、これから書くこともやはり秋がらみなのですが、話は一転して俳人の種田山頭火に変わります。
 そして、秋と云えば連想するものの一つにがあります。

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 山頭火は柿、ことのほか柿の木の落葉を好もしく思っていたようで、それらを詠んだ句が多くあります。
第五句集『柿の葉』(昭和12年8月5日発行、所収句は119句)の後書きには、次のような一文がある。
 「柿の葉はうつくしい、若葉も青葉も — ことに落葉はうつくしい。濡れてかがやく柿の葉に見入るとき、わたしは造化の妙にうたれるのである。」

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 そして、その『柿の葉』中に納められたものに、次の三句がある。

  何おもふともなく柿の葉のおちることしきり
  落葉の濡れてかがやくを柿の落葉
  澄太おもへば柿の葉のおちるおちる

 三句目の「澄太」というのは、やはり俳人の大山澄太で山頭火の支援者・庇護者の一人でした。
 そして、句集『柿の葉』には、次のように印刷した紙片が挟み込まれていたといいます。

お願ひ 
 山頭火翁に有縁無縁の人々にお願ひします。
 此の句集を送つて貰はれた御方は其中庵慰問袋として酒なら一升、米なら二升を御恵投下さる様念じ入ます。
 昭和十二年八月  大山澄太

 山頭火は極め付きの酒好きで、嬉しい時も、寂しい時も、また悲しい時にも酒を飲みました。そして、しばしば酒に溺れることがあり、そんな日の翌日の日記には自戒・懺悔の言葉を記しています。

 ところで、柿の句と云えば、誰もが知っているのが次の句でしょう。
 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺  正岡子規

 ここでまたまた、話はガラリと変わります。
 俳句のあとに「とは言うものの金の欲しさよ」を付け加えると狂歌になると云うのです。
 これ、狂歌なんぞは簡単に作れると云う速修術だそうで、例えば先の子規の俳句が次のような狂歌に変わるのですね。
 「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
   とは言うものの金の欲しさよ

 しつッこくもう一つ、
 「古池や蛙とびこむ水の音
   とは言うものの金の欲しさよ

いとをかし




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