空・光・水・風 その5
どういうわけなのか、新年早々に二日連続で積雪を見ました。京都では珍しいことでした。
雪に覆われて色味の変化に乏しいモノトーンの風景もなかなか良いものです。
嵐 山
竹林の道
落柿舎
後宇多天皇陵(北嵯峨)
いうまでもなく、雪というのは雨、霰(あられ)、雹(ひょう)、霙(みぞれ)などとともに、降水現象の一つです。
雪の結晶をルーペで見ると、その形は数限りなくあって、見飽きることがありません。
斑雪(はだらゆき)
大沢池畔
鈴木牧之(すずきぼくし)の『北越雪譜』に「されば人の肉眼を以て雪を見れば一片の鵞毛(がもう)のごとくなれども、数十百片の雪花(ゆき)を併合(よせあは)せて一片の鵞毛を為すなり。これを顕微鏡(むしめがね)に照し視れば、天造の細工したる雪の形状(かたち)奇々妙々なる事下に図するがごとし。その形の斉(ひと)しからざるは、かの冷際に於て雪となる時冷際の機運ひとしからざるゆゑ、雪の形気に応じて同じからざるざるなり。」と記し、土井利位(どいとしつら)の『雪華図説』から雪花図を引用しています。
雪には「六花」という異称があり、確かに六弁の花に見えます。これは水の分子が結合してできるため、上空の大気の温度と水蒸気の量により、一つとして同じ形の結晶はありません。まさに自然が作る造形作品と云えます。
【注記】
鈴木牧之 明和7年(1770)〜天保13年(1842):越後国魚沼郡塩沢の人で商人(越後縮)・文人。『北越雪譜』は、世界有数の豪雪地帯である北越の、自然・産業・習俗・行事・遊び・芸能・伝承などに関する民俗資料となっている。
土井利位 寛政元年(1789)〜嘉永元年(1848):下総古川藩藩主で江戸幕府の老中首座をつとめた。20年にわたり雪の結晶を顕微鏡で観察し、雪の結晶を「雪華」と名付けて『雪華図説』『続雪華図説』にまとめて出版、「雪の殿様」と云われた。
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