大原と大原野 ー多い類似点ー 2
前回見たように、大原と大原野は和歌に詠まれるときには、どちらも「大原」とされて同じです。
さらに、驚いた事には山や清水の名称まで同じものがあるのです。その幾つか見てみましょう。
2. 小塩山
*歌枕となっていて、和歌に詠まれる小塩山は大原野の方です。
大 原
大原川(高野川)の西側で、寂光院の背後の山。しかし、小塩山というのは特定の山ではなく、大原川の西側を南北に連なる山並みを総称したものだそうです。
大原野
《大原野神社の参道》
参道の西方(左方)には勝持寺、そして小塩山(大原山)と続いている。つまり、大原野神社は小塩山の東麓斜面に位置しています。
小塩山は、東西の二峰からなっていて、東峰が小塩山で西峰は大原山とも云われる。
3. 大原山
*歌枕になっているのは大原の方です。
大 原
《大原の大原山》
小塩山と同じく大原山という特定の山はなく、大原川(高野川)の東側の山々の総称です。
大原野
前記「小塩山」で記したように、大原野神社の背後にある2峰からなる山の西側の峰を云い、これはまた西之山とも云われるようです。
4. 世和井ノ水(セガイノミヅ)(清和井また瀬和井とも)
*歌枕になっており、古来多くの和歌の題材となった名水は大原野の方です。しかし、各種地誌にはどちらの世和井も「由來未詳」としています。
大 原
「律川ノ橋ノ東右方ニ在リ和歌ニ詠ズ」また、「三千院の門前南、呂川にかかる魚山橋の東北畔にある」としている。しかし、現在では残っていないようです。
大原野
大原野神社境内の鯉が池の傍に、参道を挟んである。
《世和井の水》
*清和天皇の産湯とも大伴家持が愛飲した井水とも伝わる。
ところが、勝持寺の不動堂の西にもありました。西行が出家するときに映して頭を剃ったと伝わる鏡石の傍です。
5. 朧ノ清水(オボロノシミズ)
*歌枕になっている名水で、和歌に詠まれたのは大原にある方です。やはり、いずれも「由來未詳」とされます。
大 原
三千院から寂光院へ抜ける近道の傍らにあります。
《朧ノ清水》
建礼門院が、朧月夜に我が身をこの清水に映されたことが名前の由来とする。
ひとりすむ朧の清水友とては月をぞ宿す大原の里 寂然
大原野
勝持寺の「大門ノ外 下馬ノ橋ノ東路傍ノ北ニ在リ」とする。しかし、今では下馬橋も朧ノ清水も存在しません。
【次回に続く】
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