京七口と鯖街道 ー若狭路のいろいろー 4の3
Ⅲ. 「鞍馬口」から「鞍馬街道」を行く
「鞍馬口」は、賀茂川に架かる出雲路橋の西詰め辺りにあったようで、「出雲路口」とも呼ばれた。 「鞍馬街道(丹波路)」は鞍馬寺・貴船神社への参詣道で、丹波・若狭へとつながる道でした。
《出雲寺鞍馬口石碑》
鞍馬口から賀茂川の左岸(東側)へ渡り、深泥池を経て鞍馬街道は延びる。
『京羽二重』は鞍馬街道の道筋を、「寺町通の北の頭町野へ出る みぞろ池 はたえだ村 市わら くらまみち也」と記しています。
引用文中の「みぞろ池」というのは「深泥池」のことで、時代により「御菩薩池」「泥濘池」「美度呂池」「美曾呂池」などといろいろに表記されたようです。 なお、その昔には深泥池の西側付近に「若狭口」というのがあったようです。
それでは、「鞍馬口」を起点とする「若狭街道」のいろいろを見てみましょう。
その《経路》はいずれも、鞍馬口、深泥池、幡枝、市原、野中、二ノ瀬、貴船口(落合)までは同じですが、その先で分岐しています。
鞍馬川と貴船川が合流する落合(貴船口)で鞍馬街道から別れて、貴船川に沿った貴船道を行くと、貴船・丹波へと至る丹波路となります。
《鞍馬街道》
右手の川は鞍馬川です
1. 鞍馬を経由するルート
①久多の東部から針畑越えを行くコース
このルートは『稚狭考』の「遠敷より根来・久田・鞍馬へ出る」に該当します。 『山城名跡巡行志』には、このコースを「久多越え」「小川越え」と記している。
貴船口から先の《経路》は、鞍馬、百井別れ、百井、大見、尾越、八丁平、オグロ坂峠、久多川合から針畑川を上流へ、朽木小川、桑原、小入谷、おにゅう峠(近江と若狭の国境)、上根来、下根来、小浜遠敷へと至る。
これは、若狭小浜と京都を結ぶ数あるルートの中では、距離的に最も短いルートとなっています。
②広河原から美山を経るコース
落合から先の《経路》は、鞍馬、百井別れ、花背、大布施、広河原、佐々里峠(山城・桑田郡界)、佐々里、芦生、田歌から北上して五波峠(丹波と若狭の国境)を越え、染ヶ谷、堂本、名田庄、小浜へ至る。
2. 貴船経由で丹波路を行くルート
落合(貴船川と鞍馬川の合流点)から先の《経路》は、貴船、芹生、灰屋、(京北)上黒田へ。
そして、上黒田から先は、次の2ルートがある。
①上黒田から西行して井戸を経由するコース
井戸から北上する。
井戸から先の《経路》は、小塩、ソトバ峠、八丁、品谷峠、佐々里へ。
佐々里からは、上記1.の「②広河原から美山を経るコース」に同じ。
②上黒田から東行して大布施を経由するコース
大布施から先の《経路》は、これも上記1.の「②広河原から美山を経るコース」に同じ。
3. 久多の西部から美山を経由するルート
《経路》 久多、能見峠(久多峠)、広河原下之へ。
広河原から先は、やはり上記1.の「②広河原から美山を経るコース」に同じ。
4. 上賀茂から雲ヶ畑を経由するルート
《経路》 上賀茂、柊野、車坂、雲ヶ畑へ。
雲ヶ畑から先は、次のような《経路》となる。
雲ヶ畑、岩屋、桟敷ヶ岳東麓、祖父谷峠、(京北)井戸、小塩、ソトバ峠、八丁、品谷峠、佐々里、田歌、五波峠、(名田庄)染ヶ谷・堂本を経て小浜へと至る。
(これは、次回の記事中「Ⅳ.長坂口から長坂越えを行く」の「1.雲ヶ畑を経由するルート」に同じ)
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