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2021年9月17日 (金)

茅葺き屋根

茅葺き屋根の農家

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 この茅葺き屋根の農家、周辺の自然景観にすっかり同化しています。
ここは、京都府南丹市美山町北地区です。40戸ほどの茅葺き農家がある集落で、現存する茅葺き民家は入母屋造りで、千木・破風等の構造美に優れる、いわゆる「北山型」という独自の構成をもつ山村の民家としての特質を有しているということです。
 四半世紀ほど前の平成5年(1993)、この北地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているのですが、まさに「日本の原風景」を残すところとして、多くの人々が訪れるほどに有名な「観光地」になっています。

 農家も今では人手や資材の関係で、瓦葺き屋根に葺き替える家も多いのですが、昔の農家といえば茅葺き屋根が普通でした。茅に比べて材料としては手に入り易い稲や麦などの藁葺き屋根もあるにはあるのですが、耐久性という点では劣るので多くはありませんでした。
 その点、茅葺き屋根は耐久性に優れていて30年くらいは十分もつようです。そして、なによりも夏は涼しくて冬暖かいのため日本の気候に適した屋根と言えます。
 私が子供のころ毎年、学校が夏休みになると田舎の親戚の農家に一週間ほど遊びに行っていました。
 その当時は、まだ母屋・隠居だけでなく、牛馬小屋・堆肥小屋・風呂や便所なども茅葺き屋根だったのを思い出します。


 ところで、当然のことながら茅葺き屋根も老朽化すれば葺き替え普請が必要となります。
 日本のムラ共同体では昔から、生活の必要上から慣行として互助あるいは相互扶助が行われてきました。地方によりその名称や内容に多少の違いはあるようですが、おおよそは次のようなものだと思われます。
 道路や用水などの土木工事、家屋建築や屋根葺き替え、婚礼の手伝い、葬儀の手伝い、火災・自然災害の際の援助や見舞いなどでは、各家から労役奉仕の人手を出して行っていた。
 屋根の葺き替えにあたっても、ムラの共有財産である茅場で育てた茅の刈り取り・古くなった茅降ろし・茅の運搬・葺き上げなど、多大な労力と資材を必要としました。このため、ムラ単位で頼母子のかたちで助け合い、茅が老朽化した家から毎年順番に屋根の葺き替えをしていました。
 葺き替えは茅葺き屋根専門の職人さんが中心となって作業をするのですが、相互扶助でムラの各戸から人を出して屋根の葺き替えが行なわれてきました。

 しかし、美山町北の場合もご多分にもれず、少子高齢化が進み後継者不足が深刻化したため、自治体から補助金が支給されるようになってからは、専門業者に任せるようになったということです。
 今では美山茅葺株式会社が設立され、全国での茅葺き屋根の施工請負とともに、茅葺屋根職人の育成も行っているということです。



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