珍しい鳥居 ー奴禰鳥居(ぬねとりい)ー
鳥居は神社や祠の入り口を表わす門で、神域(神様の世界)への入り口であり、俗界(人間の住む世界)との境界だと言えます。 なので、鳥居の内側は神聖な境域とされ、鳥居をくぐる際には一礼するのが作法とされています。
鳥居には多くの形式(種類)がありますが、大きく分けると神明鳥居と明神鳥居の2種類に分かれるようです。しかし、形式による細かい違いは別として、私たちがよく見かける一般的な鳥居の構造は、次のようなものでしょう。
二本の柱の上に笠木(かさぎ)が渡され、それが二層となっている場合には笠木の下部に接した形で島木(しまぎ)が渡されています。そして、その中央部から両端にかけては上方へ反っています。
島木の下側には二本の柱を固定するため貫(ぬき)を通していますが、柱と貫の間隙に楔(くさび)が打たれているものもある。そして、貫の両端が柱の外側に突き出ている部分は木鼻(きばな)と呼ばれます。
なお、笠木(もしくは島木)と貫との間には、額束(がくづか)が立てられていて、多くはここに額を掲げています。
二本の柱の上部には台輪が、下部には亀腹(饅頭とも)や藁座が施されることがある。
ところで、当ブログでは以前(2017年12月1日)に「京都三珍鳥居」と称される珍しい鳥居として、木嶋神社(蚕ノ社)の三柱鳥居、伴氏社(北野天満宮末社)の蓮花が刻まれた亀腹(鳥居台座)、厳島神社(京都御苑内)の唐破風様笠木の鳥居を取り上げたことがあります。
今回は、写真のような奴彌鳥居と称する鳥居です。これは、極めて稀な鳥居で日本中に次の二基しか無いとのことです。
その一つは伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)末社の荷田社(かだしゃ)で、もう一つは錦天満宮(にしきてんまんぐう)摂社の日之出稲荷神社(ひのでいなりじんじゃ)ですが、二社ともに京都にあります。
この奴彌鳥居の特徴は、島木と貫の間にある額束(がくづか)の上部から左右両側に、合掌型の破風扠首束(はふさすつか)をはめ込んだ形となっています。
なお、千本釈迦堂(大報恩寺)稲荷社の鳥居は、破風の中央の扠首束(さすづか)が無いので、奴禰鳥居のいわば亜種ともいえるものです。
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