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2022年10月

2022年10月28日 (金)

東京の木製仁丹町名表示板 その1

発見された木製仁丹町名表示板

 先ごろ、東京都文京区根津一丁目の一劃で発見された木製仁丹町名表示板が、京都仁丹樂會のブログ記事『東京の木製仁丹 保存へ』で公開されました。

東京の木製町名表示板 
 この記事中の写真2枚は、京都仁丹樂會会員grv1182さんに使用の許諾を得ました。

Photo_20221027132701

 その町名表示板は経年劣化で少し読み辛いのですが、往時の住所表記で「本郷區 根津須賀町四番地」となっています。
 大正7年(1918)12月から同9年4月にかけての間に、東京市の15区と周辺の9地域に総計90,440枚の仁丹町名表示板が設置されました。このたび発見された町名表示板は、本郷区(現・文京区)に設置された5,588枚のうちの1枚です。

 写真に見るように、住所表記の文字は黒色、下地は白色であることが見て取れます。

町名表示板の仁丹商標部分

Photo_20221027132801

 そして、炭化の著しい住所表記の文字部分の下の方には、辛うじて仁丹商標の痕跡(凹凸)が認められます。このことから、商標の色は文字の部分のように黒色ではなかったために、炭化が進まないまま褪色したのではないかとも考えられます。
 また、京都市の木製仁丹町名表示板に見られる外枠は、東京市の町名表示板ではその痕跡も認め難いように思われました。

 それはそれとして、この町名表示板の発見に先だって京都仁丹樂會会員idecchiさんにより、東京都公文書館の収蔵資料から『大正十年 町名札ニ関スル書類』が見付け出されていました。
 この一件資料の簿冊から、東京市における町名表示板の製作枚数、製作費その他の経費、掲示作業に要した日数と人員、設置場所と時期などの詳細が判明しました。
 また、その簿冊中には次のような『町名札製作仕様書』も含まれていました。

一、材料 杉板極小節ニシテ充分乾燥セシメタルモノ
一、寸法 長壱尺七寸、横五寸六分、厚サ四分ノモノニシテ表面及側面上下ハ仕上ケ鉋ヲ用フル事
一、塗  白ペンキ三遍塗ニシテ充分乾燥セシメタル後、黒色ペンキニテ町名ヲ楷書體ニテ記入スル事
一、検査 町名ノ文字記入前、材料、寸法、塗等ノ検査ヲ受ケ合格ノ後ニアラサレハ町名ヲ記入スル事ヲ得サルモノトス、但シ検査場所ハ請負人指定ノ場所ニ検査吏員出張ス 
一、納入場所 町名記載ノ各区役所
此他詳細ナル事項ハ庶務課商工掛ニ照会スルコト

 この『製作仕様書』から、木製町名表示板の下地の色、住所表記の文字の色と定めていたことが明らかとなりました。
 一方、その町名表示板の現物には、下部にウッスラと仁丹の商標が見えているようです。ところが、『製作仕様書』では仁丹の商標についての記載がありません。
 また、京都の木製町名表示板には赤色に塗られた額縁状の外枠が付いていますが、これも東京の『製作仕様書』には何らの記載もありませんでした。




2022年10月14日 (金)

秋 色(2)

 「秋色(しゅうしょく)」とは、深まる秋の気配や秋の景色をいいます。
 その「秋」でイメージする色といえば、やはり色づく草木の赤や黄色ではないでしょうか。
 山野が錦のように色とりどりに美しく染まる秋のことを「錦秋」と言い、澄んだ空気の中、紅葉・黄葉に彩られた山を「山粧う」と言います。

 紅葉(黄葉)するカエデやもみじの木は「カエデ科」の仲間で、日本では自生種が30種近くのあるそうです。
 葉の形が蛙の手のひらにのように見えるため、「蛙手」が「カエデ」となったということですが、葉の切れ込みの深いものが「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものは「カエデ」と呼ばれています。

Photo_20221011144102

Photo_20221011144101

 ところで、「色」という字は、「人」と「卩(せつ)」を組み合わせて成り立っています。
 卩は人が跪いた(ひざまずいた)形を表していて、その人の後ろからまた人が乗った形になっています。したがって、これは人が相交わること、つまり男女の情欲を表しているのだそうです。
 古代中国で「色」といえば「美しい女の顔色」、セックスで最高潮にあるときの女の顔色を指していたようなのです。(ただし、この説の出所は確かめていません)
 それで改めて気付くのは、色の付く言葉には「色気」「色っぽい」「色めく」「色香」など、直接・間接に性に関連する言葉が存外に多いことです。
 これは、有性生殖をおこなう生物としてのヒトが、新しい個体を生み出す切っ掛けとなる性的な衝動や欲求といった、生物として存在する根源に関わるからなのでしょうかネ。(チョットこれは大袈裟?)  

 ちなみに、『広辞苑』で「色」を引いてみると、次のように説明しています。
① 色彩
② 社会的・慣習的に定まった色
 階級で定まった染色、禁色、喪服のにびいろ、婚礼や葬礼のとき上に着る白衣、おしろい・化粧、醤油や紅の異称
③ 容姿などが美しいこと
④ ものの趣
⑤ 愛情・情事、その相手
 なさけ、色情・情欲・情事、情人・恋人・色男・色女、遊女
⑥ 種類、品目
⑦ 邦楽で主旋律でない修飾的な節


 話は変わりますが、繊維や皮革・紙などに着色するための染料には、天然染料と合成染料(人造染料)があります。 
 天然染料には、植物・動物・鉱物から得た染料があり、合成染料が出てくるまでは染料の多くは草木など植物から採っていました。そして、染料を得るために栽培される植物としては藍・鬱金・紅花などがあります。
 「采」の字の元の意味は、手で木の上の実を採ることですが、これが草木から色をとる色どりの意味にも使われるようになったようです。
 この「采(いろどり)」に、色や形が美しいことを示す「彡」を添え「彩」としたことで、「いろどり、あや、模様、色、つや、輝き」といった意味になったのだとか。

いやー、それにしても「色」には多様で異なった意味があることに驚きました。




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