秋 色(2)
「秋色(しゅうしょく)」とは、深まる秋の気配や秋の景色をいいます。
その「秋」でイメージする色といえば、やはり色づく草木の赤や黄色ではないでしょうか。
山野が錦のように色とりどりに美しく染まる秋のことを「錦秋」と言い、澄んだ空気の中、紅葉・黄葉に彩られた山を「山粧う」と言います。
紅葉(黄葉)するカエデやもみじの木は「カエデ科」の仲間で、日本では自生種が30種近くのあるそうです。
葉の形が蛙の手のひらにのように見えるため、「蛙手」が「カエデ」となったということですが、葉の切れ込みの深いものが「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものは「カエデ」と呼ばれています。
ところで、「色」という字は、「人」と「卩(せつ)」を組み合わせて成り立っています。
卩は人が跪いた(ひざまずいた)形を表していて、その人の後ろからまた人が乗った形になっています。したがって、これは人が相交わること、つまり男女の情欲を表しているのだそうです。
古代中国で「色」といえば「美しい女の顔色」、セックスで最高潮にあるときの女の顔色を指していたようなのです。(ただし、この説の出所は確かめていません)
それで改めて気付くのは、色の付く言葉には「色気」「色っぽい」「色めく」「色香」など、直接・間接に性に関連する言葉が存外に多いことです。
これは、有性生殖をおこなう生物としてのヒトが、新しい個体を生み出す切っ掛けとなる性的な衝動や欲求といった、生物として存在する根源に関わるからなのでしょうかネ。(チョットこれは大袈裟?)
ちなみに、『広辞苑』で「色」を引いてみると、次のように説明しています。
① 色彩
② 社会的・慣習的に定まった色
階級で定まった染色、禁色、喪服のにびいろ、婚礼や葬礼のとき上に着る白衣、おしろい・化粧、醤油や紅の異称
③ 容姿などが美しいこと
④ ものの趣
⑤ 愛情・情事、その相手
なさけ、色情・情欲・情事、情人・恋人・色男・色女、遊女
⑥ 種類、品目
⑦ 邦楽で主旋律でない修飾的な節
話は変わりますが、繊維や皮革・紙などに着色するための染料には、天然染料と合成染料(人造染料)があります。
天然染料には、植物・動物・鉱物から得た染料があり、合成染料が出てくるまでは染料の多くは草木など植物から採っていました。そして、染料を得るために栽培される植物としては藍・鬱金・紅花などがあります。
「采」の字の元の意味は、手で木の上の実を採ることですが、これが草木から色をとる色どりの意味にも使われるようになったようです。
この「采(いろどり)」に、色や形が美しいことを示す「彡」を添え「彩」としたことで、「いろどり、あや、模様、色、つや、輝き」といった意味になったのだとか。
いやー、それにしても「色」には多様で異なった意味があることに驚きました。
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