喫茶店いろいろ 3 ー名曲喫茶ー
小洒落た喫茶店で、クラシックやジャズが会話や読書の邪魔をしない程度に、うるさ過ぎず低過ぎず快い音色と音量で流れている。そんな店でコーヒーが美味いとなるとこれはもう嬉しくなります。
昔は「名曲喫茶」というのがあちこちにありました。
ちょっとしたコンサートホールのような音響で優れた楽曲を聴かせるのですが、ルールとマナーの厳しい店が多く、クラシックだのバロック・古典派・ロマン派などと聞くだけで腰が引けてしまう人種にとっては、「名曲喫茶」というのは敷居が高く店に入るのに勇気が必要でした。
今ではすっかり珍しくなってしまった名曲喫茶は、「私語厳禁」でひたすら音楽に向き合わなければならない堅苦しく、偏屈で暗いイメージの空間でした。もちろん、そんな厳しい音楽鑑賞のルールを定めた店ばかりではなく、オーナーの考え方次第で緩やかなルールの店もありました。
そうした店のオーナーの多くは自身がクラシック音楽好きであり、音響システムに凝っていてオーディオ機器は真空管アンプやスピーカーのコーンを手作りしているという店も珍しくなかったのです。そして、曲調によってスピーカーを使い分けるという徹底ぶりでした。
現在では、音源はコンパクトディスク(CD)が普通で、音楽をデジタル化して記録したディスクをCDプレーヤーでレーザー光を使って読み出し再生しています。
しかし、1980年代の初めくらいまでは音を記録したレコード盤から、レコードプレーヤーで音の信号を取り出していました。その頃はレコードプレーヤーのターンテーブルに乗せたLPレコードが微かにパチパチと独特のノイズを発するのも、それはそれで何かチョット良いものでした。
ところで、昔ながらの厳しいルールやマナーを今も貫いている店、名曲喫茶「柳月堂」が叡山電車出町柳駅のすぐそばにあります。
チャージ料を支払ってリスニングルームに入室。音楽鑑賞の妨げとなるため「私語厳禁」を初めとして、物音を発生させるような行為は一切を禁じるというルールになっています。
音楽に耳を傾けることに没頭する場所と時間であれば、耳障りで余計な雑音を発することは許されないというのも、あながち偏屈なルールだとは言えません。
また、静粛を保つため声を発することはできないので、曲や飲み物のリクエストはオーダー用の五線紙ノートに記入するのです。
ミニステージのセンターにはピアノが据えられ、その両側に大きくて立派なスピーカーが設置されています。そのステージに向かってソファーの座席が設けられていて、ちょっとした小さなコンサートホールのようです。
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