梟(フクロウ)
この置物、頭に冠羽(羽角)があるのでフクロウではなくミミズクのようです
運動目的でやっている軽いウォーキング、この数年来は暑さの厳しい夏季の3ヶ月程だけ明け方に歩くことにしていました。
今年、早朝ウォーキングを始めたのは6月30日で、日の出時刻は4時46分でした。
そして、10月に入った今頃の日の出はかなり遅くなり6時前で、さすがに早朝は少し肌寒さを感じる程の心地よい季節となってきました。
日の出の少し前にスタートするのですが、この時間はまだ夜が明け切る前なので東の空は朝焼けで見惚れるほど綺麗です。
ウォーキングコースとしているのは、それほど高くはない天王山の山裾を通る道です。
コースそばの深い木立でフクロウの鳴き声を聞くことがあります。フクロウは夜行性の猛禽類ですから、夜間とその前後の薄明の頃に捕食活動をしています。もちろん、姿を見ることは無いのですが、人家にかなり近いところまで降りてきているのです。
鳴き声は、「ホー、ホー」「ホッホッ」と聞こえます。姿が見えないため「フクロウ」か「ミミズク」なのかは分かりませんが、鳴き声は種類や個体によって異なるのでしょう。
普通、鳴き声は「ゴロスケ、ホーホー」と表現されることが多いようですが、人によってその聞こえ方も表現も異なると思います。
鳴き声を日本語に置き換えた表現としては「五郎助奉公」や「ボロ着て奉公」「糊付け干せ」などがあって、「糊付け干せ」については「フクロウの染め物屋」という昔話があるようです。
ところで、「漂泊の俳人」と称され一所不住・漂泊流転で知られる、種田山頭火(1882〜1940)という自由律の俳人がいます。かつては毀誉褒貶の相半ばする人でしたが、現在では小・中・高校の国語教科書にもその句が載っているほどで、名前を知らないという人は居ないと思われます。
この山頭火には、フクロウやフクロウの鳴き声を詠み込んだ句が四十数句もあるのです。そして、面白いことにフクロウの鳴き声を「ふるつくふうふう」と表現しています。適当に三句ばかり上げておきます。
ふるつくふうふう酔ひざめのからだよろめく
ふるつくふうふうあてなくあるく
ふるつくふうふういつまでうたう
突然また話は変わりますが、次は「ミネルバの梟」です。
哲学者ヘーゲルは著書『法の哲学』の序文で、『ミネルバの梟(フクロウ)は迫りくる黄昏に飛び立つ』という言葉を記しています。
ローマ神話の女神ミネルバは技術・職人の守護女神で学校と教育をも司り、ギリシャ神話では学問・技芸・知恵・戦争を司るアテナと同じ権能を持つとされます。そして、ミネルバの肩には、従者であるフクロウが止まっていて、そのフクロウは知性や叡智の象徴とされています。
謎めいた『ミネルバの梟は 云々 』という言葉の意味は、次のように解釈されてきたのではないかと思います。(知らんけど)
「梟は日が暮れてのち夜になってから活動を始めるように、知性や叡智の象徴であるミネルヴァの梟は、一つの時代が終わって混迷の暗闇となろうとするその時になって、ようやく終わろうとしている時代と世界がどういうものだったのかを人間に教えるために飛び立つのである」
« 岩 神 ー禿童石(かむろいわ)ー | トップページ | 淀・淀城そして淀川 »
「雑記」カテゴリの記事
- 天下分け目の合戦(2024.11.01)
- 伏見の酒(2024.10.18)
- 珍しいマンホールの蓋 その2(2024.09.06)
- 岩倉の大雲寺と精神医療(2024.06.28)
- 京都の水(2024.05.17)
コメント