暖簾いろいろ その40
象 彦
中京区寺町通二条上ル
漆器の製造・販売
京漆器の老舗で、寛文元年(1661年)に象彦の前身である漆器道具商として象牙屋を創業。
朝廷から蒔絵司の称号を拝受した名匠・三代西村彦兵衛が、晩年に「白象と普賢菩薩」を描いた蒔絵額が洛中で評判となり、人々はこの額のことを象牙屋の「象」と彦兵衛の「彦」の二文字をとって「象彦の額」と呼んだのが店名「象彦」の由来と言う。
ところで「象」という字、中国古代の殷の時代に亀甲や獣骨に小刀で刻まれた最古の漢字とされる甲骨文字では、象が後ろ脚で立ち上がった形を表す象形文字なのです。この暖簾の「象」「彦」の場合は、象形文字をデフォルメしたのではなく図案化しています。(なぜか脚が6本あります)
「漆器」というのは、漆(ウルシ)の木から採れる樹液の特性である塗装・接着性を活かした工芸技術で、実用的にして装飾的に漆を施した器具・器物・道具を言います。
「漆」の木はヒマラヤから東アジアの照葉樹林帯が原産とされ、樹皮に傷をつけて生漆を採る。この生漆に着色剤・油・乾燥剤を加えて製造した塗料。