ねじりマンポ
このトンネル(大山崎町円明寺)は、名神高速道路・京都縦貫自動車道・京滋バイパスの3自動車道が連結する、大山崎インターチェンジに程近いところにあります。
高さは1.22mと人が腰を屈めてようやく通れる高さで、現存するねじりマンポでは最も小さいものとされる。
トンネルの内部は、よく見ると石積み側壁の上部のアーチはレンガが斜めに捩れて積まれています。「ねじりマンポ」という特殊な構造になっているのです。そして、このトンネルは上を通るJR東海道線線路のアーチ橋ともなっているのです。
鉄道とアーチ橋が直交せず斜めに交差する場合、上を通る鉄道線路と直角になるようように精緻な設計でレンガを斜めに積み、アーチ橋にかかる力が分散されるような構造にしているのです。
上のトンネル(島本町山崎)は、サントリー山崎蒸溜所のすぐそばにあります。
このトンネルの場合、上を通るJR東海道線の線路とは直交する形になっていて、斜めに交差していません。このため、側壁のレンガは積み方が斜めに捩れた積み方(ねじりマンボ)ではなく、普通の水平の積み方でアーチ橋を造っています。
「ねじりマンポ」は、専門用語では斜架拱(しゃかきょう)といわれ、日本国内では明治7年(1874年)開通の東海道本線・大阪〜神戸間の工事でお雇い外国人のイギリス人技師によって初めて採用されたという。したがって、今では明治・大正の土木技術の貴重な遺産と言えます。
日本では鉄道用アーチ橋としての採用が殆どであり、琵琶湖疏水蹴上インクラインのねじりマンポは鉄道以外では希少な採用例だということです。
前方のレンガ構造物(インクライン)にあるトンネルがねじりマンポ。このトンネルの上にインクラインのレールが敷設されている。
このトンネルは高さ約3m、幅約2.6mとかなり大きく、複数の人が並んで歩けるほどです。
このねじりマンポは側壁とトンネル入り口に、独特の装飾がなされていて意匠的に珍しい。
なお、関西で現存するレンガ造りのアーチ橋は200ヶ所あまりあって、そのうち15ヶ所がねじりマンポ(斜架拱)だとされます。
ところで「マンポ」とは、またその語源は何か? 以下はネット情報です。
トンネルを意味する滋賀県南部を中心とする方言で、道路や鉄道の短いトンネルや農業用地下水路トンネルを「〇〇のマンポ」と呼んでいたという。
また、鉱山の坑道を意味するマブ(間分・間歩・間府)が語源とする説が有力だが、旧東海道の隧道(ずいどう)築造などで外国人技師が工事中に言っていた「マンホール」説というのもある。
追記:当ブログの2011年11月11日 (金)記事『辻子 ー杓子屋辻子とその周辺ー』で、インクラインを潜る「ねじりマンポ」にについて少しだけ触れています。覗いてみてください。